大学院で工業所有権に関する科目を修得して修了すると、修了後2年間に限り、短答式試験の「工業所有権に関する法令」と「工業所有権に関する条約」が免除されます。これは受験者にとって大きなアドバンテージとなり、著作権法と不正競争防止法のみの受験で済むようになります。
修士号や博士号を持っている方は、学位論文の内容に基づいて選択科目の永続的な免除を受けることができます。この免除を受けるためには、工業所有権審議会に申請書類を提出し、審査を受ける必要があります。申請は通年で受け付けており、年4回(7月・11月・2月・3月頃)に審査が行われます。
知的財産専門職大学院では、弁理士試験の免除に対応した特別なカリキュラムを提供しています。例えば、金沢工業大学大学院では、これまでに修了した申請者全員が短答試験の一部免除を認められており、さらに修士論文のテーマによっては論文試験の選択科目免除も得られています。
免除申請には以下の書類が必要です:
大学院在学中から計画的に試験対策を進めることで、効率的に合格を目指すことができます。働きながら学ぶ場合でも、免除制度を活用することで学習負担を軽減できます。実際に、過去3年間の合格者の平均年齢は37.8歳となっており、多くの方が社会人経験を積みながら資格を取得しています。
大学院での学習と弁理士試験の準備を両立させるためのポイントをさらに詳しく見ていきましょう。
特に注目したいのが、知的財産専門職大学院での学習です。これらの大学院では、実務経験豊富な教授陣による指導を受けることができ、理論と実践の両面から知識を深められます。
例えば、東京理科大学専門職大学院では、以下のような特徴的なカリキュラムを提供しています:
これらの科目を履修することで、試験対策だけでなく、将来の実務にも直結する知識を身につけることができます。
免除制度を活用する際の具体的なスケジュール例をご紹介します:
1年目:
2年目:
このようなスケジュールを立てることで、効率的に学位取得と試験対策を進めることができます。
また、大学院での研究テーマ選びも重要です。選択科目の免除を考慮する場合、以下の分野が特に有効です:
これらの分野は、特許実務でも重要な技術分野と一致しており、将来の実務にも役立ちます。
実際の免除申請では、以下の点に特に注意が必要です:
✅ 申請書類の記載内容の正確性
✅ 研究内容と免除希望科目との関連性の明確な説明
✅ 提出期限の厳守
✅ 必要書類の完全な準備
なお、免除申請が認められなかった場合でも、再申請は可能です。ただし、申請内容の見直しや追加資料の準備が必要となる場合があります。
大学院での学習を通じて得られるメリットは、試験科目の免除だけではありません。実務に直結する専門知識や、研究を通じた論理的思考力の向上など、弁理士としてのキャリアに役立つスキルを総合的に身につけることができます。